コラム@ダックス

[0065] 国税徴収ミニ知識 (2004/12/19)


先日、ある方から国税の滞納税金の徴収のため国税局の
徴収担当者が行う捜索についての話を聞きました。

滞納税金の相談に行ったところ、そのまま家宅捜索を受けた
というのです。

国税徴収法では、滞納処分を行うために通常の税務調査と
同様に「質問・検査」の権限を有しています。
そして、さらに強力に滞納処分を遂行するために強制力の
ある「捜索」の権限を付与しているのです。

国税徴収法では次のとおり条文を置いています。

(質問及び検査)
第141条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときはその必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。第188条第2号において同じ。)を検査することができる。
1.滞納者
2.滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
3.滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
4.滞納者が株主又は出資者である法人

(捜索の権限及び方法)
第142条 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
2 徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
1.滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
2.滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
3徴収職員は、前2項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

・・・・・・以下省略

これは、国税徴収法に規定する質問検査と捜索に関する条文です。
普通ではあまりお目にかかることの無い法律だと思います。
特に142条が滞納処分を行う場合の捜索などは結構衝撃的です。

国税滞納処分における捜索は、裁判所の捜査令状などが無くても
徴収職員の身分証明書の提示だけで行うことができるとされ、
捜索をあたっては黙秘権の行使もできず、妨害行為があった
場合は公務執行妨害罪が適用されるという厳しいものです。
国税の徴収には自力執行権が認められ、それが具体化されて
いる部分の一つといえます。

国税徴収法はあまりなじみの無い法律ですが、機会があれば
また解説させていただきたいと思います。

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