コラム@ダックス

[0030] 総額主義と争点主義 (2003/12/01)


明治大学大学院で行われている税理士特設講座も、次回12月6日で最終回です。
税務訴訟での補佐人としての基礎を学ぶため、国税通則法を中心とした税法基礎
研究や民事訴訟法を中心とした訴訟実務研究、行政手続法なども含めた訴訟手続
法研究などを半年かけて勉強してきました。
日ごろの実務では、なかなか体系的な学習をする機会は少ないので、このような
機会に恵まれたことに感謝したいと思います。

竹内教授の「訴訟手続法研究」で、よく理解できたことに次のような論点がありました。

税務訴訟における総額主義と争点主義
総額主義:税務署長などがした更正・決定等の課税処分により確定された税額が
     総額において租税実体法(所得税法や法人税法など)により客観的に
     定まっている税額を超えなければ当該課税処分は適法であるとする考え
     方。税務署長は、税務訴訟の段階でも、口頭弁論が終結するまではその後に
     発見した事実を追加して課税処分の適法性を主張できるとする考え方です。
争点主義:税務訴訟において、税務署長等がした課税処分時の認定理由が誤っていれば
     当該課税処分は、違法であるとする考え方。税務署長等は、課税処分の適法
     性を維持するために訴訟段階で最初に主張した課税処分以外の理由を新たに
     主張することは出来ないとする考え。
講義において、受講生の方から、現状の総額主義は支持することは出来ないという意見
がでましたが、竹内教授は、争点主義では課税処分の取消判決が決定しても、更正の
除斥期間内である限り、新たな理由に基づいて再更正が許され、納税者にとっても不利
な結果になるのではないか、総額主義では課税処分が確定すると判決の拘束力により
、訴訟で主張しない理由をもって再更正を行うことは許されないため、そのほうが納税者
にとって都合がよいのではとの説明がありました。
なんとなく、争点主義のほうが納税者有利のような気がしていましたが、先生の説明で
税務訴訟の判決では、総額主義に基づく非制限説が指示されている理由がわかりました。

コラムにしては長くなりましたが、毎回研修では新しいことに触れることができ
新鮮でした。

奥野
     


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